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カラーこそ、髪質改善効果を出すのは仕上げのブロー時。

補修成分の定着は結晶☆結合じゃないんですよね。

染料の違いで発色がかわる。

髪質改善の完成

髪質改善の完成のタイミング。
それは、「ドライの瞬間」です。

ただし、60℃程度の熱を加えると、酸熱架橋は始まっていきます。

酸熱架橋のタイミング
〈工程途中〉
・デジパやホットパーマ
・縮毛矯正

〈仕上げドライ〉
・コールドパーマ
・カラー

作業に於ける"髪質改善"とは、架橋を増やす行為のこと。
ヘアケアに於ける"髪質改善"とは、髪を綺麗にするライフスタイルへコーチすること。

結合と結晶化を分けて考える

サロンワークで様々な処理剤を使用し、ヘアケアを行います。
前時代には、PPT→油脂・シリコンをつけるだけのケアが主流でした。
これは、結合を無視し、結晶化だけに頼ったケア。
PPTがなんら結合するわけでもなく、ドライで固まる、結晶化。
そこの油脂分やシリコンをコートし、滑りと光沢を与える。
乾燥して結晶化したものは、水分を与えるとまた溶けます。
そのコートにより「溶けるのが遅くなればいいな」みたいな期待もありました。

現代のヘアケアは、あらゆるイオン結合、共有結合という結合を利用します。
結合とは、分子同士が引き合う性質。

忘れてはいけないのが、これは「濡れてる状態」でこそ起きる現象です。
ドライした瞬間に、この結合の集合体が結晶化します。
ここで、ヘアケアは完成します。

言うなれば、結合は「軽く縄を掛けた状態」。
ドライして結晶化する、とは
「縄を引き締めてしっかりと結びつける」こと。

・共有結合とイオン結合

これらは共に、原子どうしの結合です。
原子の周囲には電子が衛星のようにぐるぐる取り囲んでいます。
要点は2つ。

・原子にはそれぞれ、「自らが安定する電子の数」が決まっています。
・原子はそれぞれ、「電子を引きつける強さ」の違いがあります。

共有結合は、「安定する電子の数が1こ少ない者同士」が近づき、お互いが持っているものを共有します。
相手が持っているものを自分のものとみなすだけで、奪わない。
元々持っている電子を手放さないため、強い結合になりがち。

イオン結合は、塩結合とも呼ばれます。電子を引きつける力の強い原子が、弱い原子から電子を一個奪います。
その時点で、奪ったほうが-の電気を、奪われた方が+の電気を帯び、静電気の作用でくっつきます。
奪った奪われたの関係ですから、状況が変われば、外れやすい特徴もあります。

髪質改善でよく使用されるアミド結合、イミン結合などのペプチド結合系は共有結合
イオン結合はどちらかというと「状態」を表すもので、例えば主な髪の構成原子は、pH3.5~4.5あたりでイオン結合し、安定します。
このpHのことを"等電点"と呼びます。
等電点の状態にあれば、イオン結合の数が最大となり、イオン結合による架橋が増え、髪が安定します。

分子間力

ファンデルワールス力。毛髪に於いては、"水素結合"で知られています。

電子は常にぐるぐる動いています。ファンデルワールス力は、図のように、原子の電子がいない部分と多い部分が静電気的にくっつくこと。
これが一つ起きると、周囲にある原子の電子も隔たりが誘発され、どんどん連結していきます。

水素結合はイオン結合とそっくり。

水で例えると、Oは電子を引き付ける力が強い。Hは弱い。
なので、Hの持つ電子をOが奪います。すると、それぞれが+と-の電気を帯びるため、静電気でくっつきます。
これはイオン結合ですね。
で、そのHですが、Oに電子を奪われくっつきますが、"くっついてない面"が無防備です。何かがくっつきやすい。
そこに、電子を周囲にぐるりと装備したOが近づくと…
無防備なHにくっついちゃいます。

電子の偏りにより、+と-に帯電した原子の結合なので、イオン結合も水素結合も、仕組みはそっくりです。
違いは、それが分子間で行われるのか、分子内で行われるのか。

原子がイオン結合や共有結合であつまって一つの形をなしたものが分子
その分子同士がの結合が分子間結合であり、その種類が、ファンデルワールス力と水素結合です。

サロンで行われる結合とは?

髪質改善では、タンパク質のアミノ基と、各種酸のカルボキシル基やアルデヒド基などの結合を狙います。


これは、共有結合です。
が、実は、美容室程度の環境では、これらの結合は起きないのでは、とも言われています。
よく、「酸熱はpH2.5~4.5がいい」と言われます。
これは、"使用する原子たちの等電点"がそこにあるから。
つまり、イオン結合を利用しているにほかなりません。

ただ、共有結合もイオン結合も"分子内結合"です。
分子を構成している原子同士の結合です。


これはシステインの分子構造です。
各原子が共有結合やイオン結合でくっつき、構成されています。

pka(酸解離定数)というものがあります。
そのpH以上になると、Hを放出する、というものです。
これはイオン結合でくっついたHが離れちゃうpHを表しています。

ジスルフィド結合で言えば、環境のpHがその還元剤のpkaになると、SにくっついたHが外れ、Sがむき出しになります。
すると、Sは何かとくっつきたがります。
Sは電子を引き付ける力が強いので、周囲にいくつかくっつくことができるものがあったとしても、同じく引き付ける力が強いSとくっつきがち。

美容室で起こすことができる共有結合は、ジスルフィド結合くらいかも知れません。
美容室で新たな分子を作り上げることはできません。

酸熱での代表的な共有結合は、上の図にあるように、アミノ基とカルボキシ基のアミド結合です。
これはまず、水素Hがpkaにより離脱し、CとNがむき出しになるために起きる、炭素窒素結合という共有結合です。

ですが、この共有結合を発生させるためには、230℃30分加熱など、かなり過酷な条件が必要であり、美容室でそれが起こせるとは考えづらい部分があります。
よって、これらはイオン的に、もしくは静電気的に、"近づいているだけ"な可能性が高い。
結合までは行われていない。

もっと言えば、ここで共有結合が起きていないのであれば、
これらはただの分子間結合であり、ファンデルワールス力、または水素結合でしかなく、濡らせば外れるレベルの結合の可能性が高い。

 

髪質改善とは?

毛髪内に様々な補修成分を入れ、それらを結合させ、架橋をつくり、弾力を生み出す。
これが髪質改善に於ける毛髪の補強です。

毛髪と補修成分がしっかりと結合することが理想とされます。
ただし、今まで記述してきたように、それは理想論であり、結合の可能性は低かったり、部分的だったりします。

前時代のヘアケアはPPTを入れ、乾燥させるのみでした。
ただ、現代の補修は、体感レベルでもっと効果があります。

違いはなになのか。
疎水物の形成だと考えられます。

結合とは、原子2つがくっつく様を表した言葉。

この、結合した物たちが多重的にくっついたもの。
それが結晶です。


図は、ナトリウムと塩化物の結晶です。
塩ですね。
このように大きく結晶体となったものが、毛髪のダメージホールを埋めれば、毛髪補強は完成します。
たとえ毛髪とくっついていなくても、ダメージホールが埋まれば、物理的に構造は補強され、弾力がでます。

ただし、こういったイオン結合は、水に濡らすと溶けてなくなります。
塩が水に溶けるように。
PPTは毛髪へ塗布前は水に溶けていますよね。
髪に塗布し、ドライすればこのように結晶体となり、毛髪の補強ができますが、溶けない理由がない。
よって、持続性がありません。

そこで。
毛髪に入れるものを、PPTではなく、ある条件を持たせます。
①「毛髪にイオン結合、または分子間力結合が起きやすいもの」にする。
「水に溶けづらいもの」にする。

①は、いわゆる酸熱系のもの。グリオキシル酸や各種酸、トステア、システアミンなど。
これらは、共有結合などが発生する可能性がないとも言えないし、水に濡れて外れたとしても、残ってさえいてくれれば、またくっつく可能性もあります。

②疎水物。前時代PPTのように、水に可溶化したものは、乾いた後にまた濡らせば溶けます。
同じ酸でも、クエン酸は粉末を簡単に水に溶かせますから、PPT同様にまた濡らせば溶ける。だから、ワンデイのコンディショナーによく配合されます。
酸の中でもフマル酸などは水にかなり溶けづらく、特殊な加工をすることで可溶化させています。
一度毛髪内に入れてしまえば、再度可溶化させることは難しいため、毛髪内に長期間残留します。
濡らしても、また乾かせば結合が発生します。

タンニンやセラックなども、アルカリで可溶化しているため、液状で毛髪に塗布し、アルカリを除去した時点で固形に戻り疎水化します。
また、それらはタンパク質に吸着する性質もあります。
それを利用したのがタマコンKAです。

また、ColorWhere?に配合された"アニオンキトサン"と"カチオンPPT"は、一度結合すると水に溶けづらい疎水物になります。
それらを液中で溶かしているエタノールが揮発すれば、水中では疎水結合が発生し、疎水物となります。

この、①と②をバランスよく発生させることこそが、髪質改善に於ける毛髪補強です。

 

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