230807 名古屋講習会 アメイジングストレート&髪質改善 午前の部









最終の架橋形成をここで。
「結合」とは、分子同士同士がくっつくこと。
分子は物事を構成しているもの。
タンパク質なんかも、いろんな分子からできています。
髪のタンパク質同士を、
髪とPPTを、
髪やPPTをなんとか酸で、
くっつけていく。
分子レベルで。分子同士を。
くっつくタイミングは?
仕上げのドライです。
それら成分を使ったなら、必ずアイロン仕上げをして、最終的にしっかり結合させましょう。
ホームケアのススメ
各種酸成分やPPTなどの、後付けの架橋は、ドライの時点で完成します。
しかし、この“完成”は化学的な意味合いではありません。
化学的に完全に架橋を成立させるには、とんでもない高温や強い処理が必要になります。
毛髪上でそれは行うことができず、化学的な意味で言えば、中途半端な状態で施術を終えます。
家でシャンプーをすると、それら成分は緩みます。
緩んだまま、また次の日のシャンプーを行うことで、徐々に流失します。
それら「架橋し得る成分」を、髪の中にできるだけ長期間留め、架橋の数をできるだけ確保するには、ホームケアが重要です。
具体的には「まっすぐの状態」を保ったまま「しっかりドライ」すること。
ヘアスタイルとしてカールが好きな方でも、「髪の国一部分」をミクロの視点で見た時には、チリチリよりもまっすぐ整っている方がベストですよね。
つまりは、毎日、正しくドライして、ストレートアイロンまで行い、完全乾燥させることが、ヘアケアにとって重要となります。
「アイロンは傷むから毎日やっちゃダメ」じゃなく「正しいアイロンの仕方」を教えてあげてください。
架橋の理解
縦軸の主鎖に対し、ちょうどハシゴのように、横のつながりを作っていくこと。
これが架橋。
髪はもとより、いろんな架橋によって“弾力”を形成しています。
パーマはその架橋の中でも、ジスルフィド架橋(SS架橋)を切ったり再結合させたりする行為。
ここで使う還元剤によって、毛髪内の架橋が増えたり減ったりするというデータがあります。
チオを使って髪にパーマを当てた場合、丁寧な施術をすることで、再結合率は92%と言われています。
丁寧な施術とは、中間水洗だったり、僕の提唱する2剤の平衡法(名前は他の人がそう言ってただけ。薄い2剤からつけていくこと)だったり、リフォールディングを意識した施術です。
これが、チオを100とした場合、システアミンは110ほどになるそうです。
チオ乳酸は90ほど。
これは、それら還元剤が他の側鎖を切ってしまったりということではなく、その還元剤そのものが残留し、架橋を作ったりミックスジスルフィドとしてSS架橋の再形成を妨げたりすることに起因します。
酸熱トリートメントはズバリ、新たな架橋形成。
システインも、単体では架橋はあまり期待できませんが、ポリフェノールや酸成分などにより架橋の一部となり得ます。
架橋という反応のコントロールを心がけることもまた、ケアの一つです。
癖が強いなら、還元剤の量を多く。前回伸びづらければ次回はもうちょっと多めに。
髪は柔らかくしていた方が、形を変えやすい。
太くて強い髪ほど、アルカリ量を多めにして軟化膨潤を進める。
放置時間は、軟化膨潤を進めているだけ。還元はそんなに行われていないと考えた方がいい。
“適切な放置時間”とは、その後のアイロンでダメージさせずしっかり還元させられるだけの化学反応が起きる時間を確保するだけの水分量を髪に含ませられるくらい。
完全に乾燥してしまったら、いくらアイロンしても還元はそれ以上進みません。
GMTやスピエラは、乾燥しきらないからアイロンを頑張れば結構伸びる。
毛髪が含んだ水を温めてお湯に変え、化学反応を進める。
水は100℃までしか上がらない。水が飛んだ瞬間に髪内部の温度が上がり、そこから乾燥するまでの“瞬間”が一番美味しいとき。
ダメージ毛やブリーチ毛などは、水だけでふやふやになります。でも、それだと矯正は成立しません。ある程度、もう少しだけ軟化膨潤させてください。
健康毛はしっかりと軟化膨潤させ、膨らませて水を含ませる。
正直、肌については、なんでもいいかとも考えています。
数秒、頭皮につけるだけですし、洗い流しますし。
「Reveウォッシュで毛が生えた」というお声は多くいただきます。
これは、そのものに発毛成分が入ってるわけではなく、「生えようとする毛の邪魔をしていない」つまり、細胞を活性化させるわけではなく、不活性させるもの、弱らせてしまうような成分が入っていない、というだけ。
毛を生やすのは、細胞の生命力から。
そういう意味では、髪や肌に残留しがちなコンディショナーの方が重要です。
タンパク質や生物を痛めつける“カチオン”ではないこと。
毛髪のコンディションを良くするためには、カチオンのものを塗布し、滑りや手触り感をアップさせるのが定石であり、ほとんどの商品がカチオンで作られています。
肌への刺激性を考えると、カチオンでないものを選ぶべき。
毛髪そのものに対しては、髪質改善や矯正では、補強成分をたっぷり入れ込んでいきます。
これら成分の持続性こそが、ケアのもち。
洗浄力が強めのサルフェート系(硫酸系)はやはり、避けた方が吉ではあります。
美容師が学んだドライのハウツーをそのまま、家でもやっていただいてください。
・濡れてる期間は短く…キューティクルが開いており、摩擦に弱い。摩擦がない状態なら別に構いませんけど。
・キューティクルを寝かせる風向きで…根本から毛先へ。逆向きに風をあてているところを特殊カメラで撮影するとキラキラとキューティクルが舞う映像が撮れるほど、キューティクルは弱いもの
・ハイダメージや毛先はブラシでまっすぐの形をつけながら…風だけでドライすると、毛先がヨレヨレのまま水素結合がかかり、そのまま酸熱架橋もかかり、その形を形状記憶してしまいます。濡れてる間にブラシを、習慣づけましょう。
・完全乾燥まで…ついつい、ある程度乾いたら終了してしまいがち。その状態が一番ヤバい。キューティクルはまだ開いてるので、毛髪内水分がどんどん蒸発し、乾燥毛に近づきます。摩擦にも弱い状態ですし、架橋もかかっていない。最悪の時間帯です。しっかり乾かしましょう。
・乾かした後に、もうひと熱…完全に乾いたと思ったら、できればアイロンをして欲しいのですが、できない場合は、弱風などで毛髪を撫でるように熱を加えていきます。この熱処理で酸熱架橋ができていきます。
細かくブロックを分けて180℃でしっかり!なんてしなくてOK。
むしろ、プレート片側にガーゼを巻いたりして、当たりを柔らかく。
ここでは、完全に乾燥させ、熱を少しでいいので当ててあげるのが目的。
ただし、設定温度は180℃で。
1カ所3秒以内の「3秒ルール」で
セルフでのブローやアイロンについては、
いずれ別コンテンツで動画をアップしますね。