230807 名古屋講習会 アメイジングストレート&髪質改善 午前の部


















定着は酸で。浸透はアルカリで。
毛髪は18種類のアミノ酸が繋がってできた、タンパク質です。
さらには、毛髪の主鎖は、そのアミノ酸たちが連結したものです。
そのタンパク質を、アルカリや酸の溶液に漬け込んで、ある一定の長さに切断したものが、PPT。
このPPTの"長さ"が"分子量"です。
そして、システインを含んだ状態のケラチン(PPT)が、活性ケラチンです。
システイン部分のSが反応性が高く、毛髪などのSと結合することが、"活性"の所以。
ただし、スルホン化しているので、実は活性していない…という噂。
一番右が活性ケラチンのモデルですが、Sの周りをOが取り囲んでますね。
いわゆる、システィン酸になっちゃった状態。
このOは生半可じゃ外せません。
なので、活性化のためには還元剤に2日ほどつけておく必要があります。
毛髪は、キューティクルにより内部組織が守られています。
アルカリチオはアニオン化(-)しており、+イオンをもつキューティクルが付着し易い環境です。
そのため、施術に必要な各種成分は、毛髪内に中々浸透しません。
アルカリにより毛髪が膨潤し、キューティクルに隙間ができると、その隙間からやっと、チオやカラー色素などが浸透できます。
タマコンKの浸透剤は、閉じたキューティクルの隙間からも、必要成分を浸透させることができます。
また、ダメージホールはキューティクルというバリアないため、なんでもどんどん中に入ります。
必要成分とともに、多くはアルカリなど有害物質も一緒に入るため、その周囲がどんどんダメージします。
そこで、その部分にタマコンAのPPTやKのポリフェノール、ヘマチンや、それらの複合的な結合物を充填することで、有害な薬剤の入りすぎを防ぎます。
つまり、健康毛へは薬剤を浸透させ、ダメージ毛へは入り過ぎを抑える、ダメージ差を均すことができます。
浸透剤 タマコンAや還元剤、カラー剤などを"キューティクルが閉じてても"浸透させることができる。
また、PPTもいつもよりも大きいものもより深く浸透させられる。
ヘマチン 豚の赤血球の中の"ヘモグロビン"から、グロビン(タンパク質)を除去したヘム鉄。元々タンパク質とくっついていたので、またくっつきやすい。
ポリフェノール リンゴ&赤ワインレスベラトロール 赤ワインのオリは、ぶどうのタンパク質と表皮のポリフェノールが結合したもの。両者は結合し、疎水物となりやすい。
イカスミ 毛髪強度アップ。天然の18種類アミノ酸やムコ多糖類を含有している。
pH4.5程度に調整しています。
これらがキューティクルを守りながら、薬剤をキューティクルの膨潤を待たずに隙間から浸透させます。
ヘマチンがカラー色素などの酸化重合を促進させたり、ポリフェノール類とともに多重結合させて、大きな分子となり、流失しにくくします。
そこに、レブリン酸を配合。さらにタンパク質の結合効果を高めました。
それにより、多重結合したものどうしが更に結合しより大きな分子量となったり、髪の主鎖に結びついたりし、生成物を持続させます。
PPT、アミノ酸は併用しないほうがいい。
動画では時間が来てしまったので最後まで語れていませんが、結論はそこです。
クセを伸ばすには、ブロー時の水素結合の様に、「まっすぐにした状態で架橋を掛ける」ことが必要です。
架橋とは、ブローなら水素結合。髪質改善ならジカルボン酸などによる架橋。
これは、毛髪の主鎖にくっつくことが必要です。
ですが、アミノ酸やPPTを一緒に使用すると、ジカルボン酸などは主鎖だけでなくそれらにもくっつきます。
別の言い方をすれば、架橋力がアミノ酸たちに喰われて消費されてしまいます。
癖を伸ばすだけを考えるなら、アミノ酸類は併用しないほうが効果は高いと言えます。
ただし、そのデメリットは、第四話で記載してますので、しっかり読んでください。
Tamazonでは、酸熱系はアルカリ性での使用を推奨しています。
理由としては、よく入り、効果が高いから。
そして、PPT系が併用できるから。
毛髪を膨潤させ、その隙間に処理剤を入れていくのが、毛髪補修の基本。
今までの髪質改善は、その逆、酸性で使用していました。
pH2.5~4.5が、各種酸物質の定着しやすい領域だから、というのがその理由です。
ここで、既存の改善剤は様々なジレンマを抱えることになりました。
・酸性だから浸透しないので、高濃度で使用しなくてはいけない。商材によっては、強酸の原液使用を推奨していた。
・同じく浸透しないので、放置時間が長く、加温が必要。
・原料がpH0.5~2と低いため、2.5~4.5に調整しないと毛髪に過収斂が起きてしまう恐れがある。だが、そこで使用できるアルカリ剤は特許の関係で、毛髪負担の大きい水酸化カリウムなどを使用するしかなかった。
これらはそれぞれ、ダメージの要因にもなり得、初期の「髪質改善ダメージ」「酸熱死」はそれが要因だとも考えられます。
浸透剤の、PPTと併用したときの資料が下にあります。
併用するPPTの効果を1.5倍に高めるというデータです。
光学顕微鏡の画像で見る通りに、同じ2000分子PPTでも、かなり深くまで浸透していることが解ります。
ただ、この浸透剤は両親媒性(油と水とどちらにも親和性がある)のエステルであり、
保存時は酸性である必要があり、アルカリ環境下で活性します。
他のエステル同様、アルカリ下で、数分で破壊されます。
酸性での使用でもある程度は効果がありますが、アルカリで壊さない限り、
「入ったものは出ていく」法則により、これにより導入した有効成分やはり流失し易い状況にあります。
タマコンKのように、中で重合化させるか、アルカリでエステルを壊してあげることで、有効成分が中に残ってくれます。
両親媒性なので、カラーのジアミンやカップラー、HC塩基染料や、PPT、還元剤、各種オイルなどなど、何でも連れて、毛髪内に浸透します。
身近なところで言えば、エンジンオイルなどがエステルです。
エンジンの中のピストンは密着した金属です。
その僅かな隙間に入り込み、馴染んで滑りを良くするエンジンオイル。
キューティクルの隙間にも、毛細管現象などのはたらきにより、浸透していきます。
従来の「前処理」は、ダメージ部分をカバーすることを主目的にしています。
例えば、油脂が多く含まれたトリートメント剤や、被膜としてシリコンなどが使用されることが多いでしょう。
PPTを使うこともあったと思います。
トリートメントは無意味です。
確かに油脂は水を弾くかも知れませんが、トリートメント剤は乳化されており、水などが加わりそのバランスが崩れたら、その被膜効果は維持できません。
油脂を直接塗れば効果は高いでしょうけれど、仕上がりが重くなります。
PPTは、ダメージホールを埋める意味で効果的でしょう。
タマコンKAを前処理での使用は、そのPPTでのダメージホールカバー力を究極的に高めたシステムです。
ハイダメージの場合は一旦、軽くドライをし、再度タマコンK3倍希釈などを塗布してから施術に入ると、かなり効果的です。
ドライと熱でPPT、ヘマチン、ポリフェノール、レブリン酸を結合、定着させた後に、
タマコンK再塗布で、浸透剤を再び活用する流れです。